東京カンナビス特区 大麻王と呼ばれた男 稲井雄人 (ゼノンコミックス) コミック
「大麻王」って漫画があるって聞いて、読んでみたくてですね、今、3巻まで出てて、5月に4巻が出るようですね。
で、僕的にはちょっとダメかな。
申し訳ない、ねえ、せっかく大麻の漫画書いてくださってるのにね。
なんていうか、大麻が中心ではあるんだけど、大麻的でないというか。
なんか、どろどろと欲望の渦のなかにありすぎて、宣伝でも大麻のクライムストーリーみたいに書いてあったから。
主人公の植物を育てる名人のモリオはすごくいいやつなんですよ、お金が必要になって大麻を育てるビジネスに手をだして、後に大麻王になっていくんでしょうけど。
ただ、まわりの連中がねえ、モリオの大麻を使って金儲けしようってやつらがもう恐ろしいのよ。
独り占めするために、他人を殺してでもってやつが出てきたり、あと取り締まる側のマトリとか警察の連中も負けずにいやらしいというか、強烈でして、下っ端売人をこれまた殺すぞっておどして、密偵にするとか、もう、なんだこれって。
これ読んでて思ったのは、おそらくですよ、大麻自体は中立なんですよ、まあ、ただの草ですしね。
これを悪としたことから、つまり大麻取締法ができたことから、この大麻をめぐる世界に善と悪が発生したんじゃないかって。陰と陽みたいなねぇ、この世のバランスですね。大麻を取り締まる側である善と大麻をアンダーグランドで売る側である悪。どっちも無くならないの。
取り締まりが強くなれば、結局、大麻の値が上がって、悪の側も儲かって大きくなる。
常にチェイスしつつも、持ちつ持たれつのような関係で大きくなっていくわけ。
まあ、アメリカにおける禁酒法がそうだったじゃないですか。酒を悪として禁止したのはいいんだけど(いいくもないけど)、ギャングという存在がそれをアンダーグランドであつかって急成長したわけでして。
なので、またまたおそらくですよ、この大麻をめぐる悪を無くす唯一の方法は、大麻取締法を無くすことなんですよ。
ちょっと考えてみてください、近年、世界で大麻が続々と解禁されてきてるじゃないですか。なので、この「大麻王」ってどろどろした犯罪ストーリーの舞台として、アメリカではもはやダメですよ。ドイツとかオランダとか、まあほとんどのヨーロッパでも成り立ちません。オーストラリア、アルゼンチン、メキシコ、タイ、だめですね。
皮肉にも、一番大麻に厳しいって言われてた日本くらいでしか大麻犯罪の漫画はもう成り立たなくなってきてるんですよ。
by サル・パラダイス