厚労省が募集している「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案に関する御意見の募集について」に、下記の内容を意見として提出しました。
厚労省が示したCBD製品のTHC含有基準値についての意見書
CBDオイル等のCBDを主成分とする製品には、飲食料品とは別に、ダイエタリーサプリメントとしての区分を設け、2019年のWHOによる勧告(41st ECDD Recommendation 5.5)[1]、2020年11月19日のEU司法裁判所の判決(Case C-663/18)[2]で示された根拠に基づき、THC含有量0.2%(2g/kg)の基準値を定め、製品への成分表示を義務付けることを求めます。
意見の理由
意見募集の別紙、「その濫用による保健衛生上の危害が発生しない量として政令で定める量の算出根拠について」では、欧州食品安全機関の急性参照用量(1 μg Δ9-THC/kg)を参考にしていますが、この値は2020年1月の報告書[3]により、見直されています[4]。
また、EU食品法では、CBDは 1997年5月15日以前に食品として消費されていたことが示されていないため、Regulation (EU) 2015/228(「新規食品規則」)に基づき「新規食品」とみなされています。
欧州食品安全機関は、2022年6月の報告書では、新規食品とみなされたCBDの安全性について、より多くの科学的データが必要であるため、十分に立証することはできないと結論づけています。そのため現在EUでは、CBDはEU市場で新規食品として認可されておらず、食品として商品化することはできません。
こうした背景からEUでは、フランスやドイツなどのように、非医療用途のCBD製品の販売を化粧品やダイエタリーサプリメントという区分で認可している国があります[5]。そのような製品には、2019年のWHOによる勧告や2020年11月19日のEU司法裁判所の判決に基づき、THC含有量0.2%以下という基準が適用されています。
日本でもCBD製品を食品や飲料という区分で販売するのではなく、化粧品やダイエタリーサプリメントという区分を設け、THC含有量の上限値やCBD含有量の適切な表示を義務付けることにより、消費者により安全な製品を届け、新たな産業を創出することが可能になります。
参考文献
1. WHO Expert Committee on Drug Dependence: forty-first report. Geneva: World Health Organization; 2019 (WHO Technical Report Series, No. 1018). P.54
https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/325073/9789241210270-eng.pdf?ua=1
2.Judgment of the Court (Fourth Chamber) of 19 November 2020, C-663/18 – B S and C A [Commercialisation du cannabidiol (CBD)
https://curia.europa.eu/juris/liste.jsf?language=en&td=ALL&num=C-663/18
3.EFSA (European Food Safety Authority), Arcella D, Cascio C and Mackay K, 2020. Acute human exposure assessment to tetrahydrocannabinol (Δ9-THC). EFSA Journal2020;18(1):5953, 41 pp. https://doi.org/10.2903/j.efsa.2020.5953
4.Commission Regulation (EU) 2022/1393 of 11 August 2022 amending Regulation (EC) No 1881/2006 as regards maximum levels of delta-9-tetrahydrocannabinol (Δ9-THC) in hemp seeds and products derived therefrom (Text with EEA relevance)
https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2022/1393/oj
5. Osborne Clarke, From hemp to highs: an overview of cannabis and CBD legislation across Europe, 2024
https://osborneclarke.com/insights/hemp-highs-overview-cannabis-and-cbd-legislation-across-europe
以上
株式会社あさやけ
代表取締役 白坂 和彦
※この意見書は店主・白坂の盟友、野中 烈さんに起草してもらいました。この場もお借りして、野中さん、ありがとうございました。