THC残留限度値に関する再質問書への厚労省の回答

3月16日付で厚労省に郵送した再質問書への回答がないので、一昨日、メールで回答を催促しました。昨日、厚労省からメールで回答がありました。再質問書は回答期限を示すのを失念したので、催促されるまで放置されたのだろうと思っています。やはり、ちゃんと回答期限を明示しないといけませんね、

下記に回答のメールを記載します。ご意見などありましたら、白坂宛 shirasaka@cbdjapan.com にお知らせ下さい。この回答を受けての対応については、有志たちや顧問弁護士と相談のうえで決めたいと思います。
THCの何が悪いのか、引き続き行政に問い続けます。


(2025.04.15. 17:06 受信)

株式会社あさやけ
代表取締役  白坂 和彦 様

お世話になっております。
3月16日付けで厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課あてに送付のありました再質問書につきまして、
それぞれ以下のとおり回答いたします。
なお、返信用の封筒につきましては、別途返送させていただきます。

何卒ご理解賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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【再質問1-1】
 販売用CBD関連製品を大量に在庫している事業者だけでなく、キャンペーンなどで安価に大量購入した患者などは、とても3か月では処分・消費できません。食品や医薬品の規制変更では通常6か月から1年以上の猶予があるのが一般的ですが、CBD関連製品については、なぜ3か月で足りるとしたのか具体的な根拠をご教示ください。

(回答)
施行前の全ての製品が規制対象となったという前提でお答えすることは困難です。そのうえで、前回の回答のとおり、残留限度値の原案については、施行前の令和6年5月30日からパブリックコメントを募集する際にお示ししておりますし、当省ホームページにおいて適切な周知をしたものと考えております。

【再質問1-2】
 新基準に適合しないCBDブロードスペクトラム関連製品を現在も使用している消費者は麻向法による処罰の対象となるのでしょうか。

(回答)
Δ9-THCの含有量が法令で定めた値を超える製品という意味であれば、その製品は違法状態といえます。ただし、犯罪の成否については個別の事案ごとに収集された証拠に基づいて判断されるべき事柄であり、一概にお答えすることは困難です。

【再質問1-3】
 事業者や使用者(消費者)に対しては、どのように周知したのでしょうか。
 とりわけ、これまで厚労省監視指導・麻薬対策課にメールでの確認申請を行ってきた事業者や消費者に対して、書面またはメールによる通知によって周知されたでしょうか。今回の規制で損害を被る虞(おそれ)のある事業者や消費者などのステークホルダーに対しては、相応の配慮をする必要があると思われますが、具体的な対応をご教示ください。

(回答)
厚生労働省のホームページ等により周知しております。

【再質問1-4】
 厚労省監視指導・麻薬対策課が、12月12日施行前に、THC残留限度値について、事業者等に対して、周知した時期及び方法について、その詳細を具体的にご教示ください。

(回答)
厚生労働省ホームページ、政令制定時の官報によりお示ししております。

【再質問2-1】
 合法的な商品を合法的に購入したにもかかわらず、猶予期間なしに、何らの配慮なしに容赦なく取締り、処罰するというのが麻薬及び向精神薬取締法の建て付けになっています。
 合法的に入手したCBD製品を入手した事業者にとっても、Δ9-THCの残留限度値を超えるかもしれない、という程度の認識で捜査対象となることに恐怖を感じている者もいます。
 いわゆる「直罰方式」を採られるのか、厚生労働省としての規制方針をご教示ください。

(回答)
改正大麻取締法等の施行にあたっては、厚生労働省のホームページにおいて、「現在お手持ちの大麻草由来の成分を含有する製品について、上記値を超える製品である可能性がある場合は、最寄りの麻薬取締部までご相談ください。」と周知を行っております。
また、犯罪の成否については個別の事案ごとに収集された証拠に基づいて判断されるべき事柄であり、一概にお答えすることは困難です。

【再質問2-2】
 個人のCBD関連製品使用者が麻薬取締部に相談した場合、具体的には、どのような対応がなされるのでしょうか。
 想定される事例に応じて、具体的にご教示ください。

(回答)
個別具体的なケースに応じた事例対応についてお答えすることは困難です。

【再質問3-1】
 CBD関連製品の使用者(施用者)が、Δ9-THCの残留限度値を超える製品である可能性がある物質について、麻薬取締部や警察に相談した場合に、検査の結果、基準超えだった場合、捜査対象になることはあり得るでしょうか。
 厚生労働省及び警察庁の捜査方針について、ご教示ください。

(回答)
犯罪の成否については個別の事案ごとに収集された証拠に基づいて判断されるべき事柄であり、一概にお答えすることは困難です。

【再質問3-2】
 CBD関連製品の事業者が、Δ9-THCの残留限度値を超える製品である可能性がある物質について、麻薬取締部や警察に相談した場合に、検査の結果、基準超えだった場合、捜査対象になることはあり得るでしょうか。
 厚生労働省及び警察庁の捜査方針について、ご教示ください。

(回答)
犯罪の成否については個別の事案ごとに収集された証拠に基づいて判断されるべき事柄であり、一概にお答えすることは困難です。

【再質問4-1】
 油脂(常温で液体であるものに限る。)及び粉末百万分中十分の量(10ppm、10mg/kg、0.001%)を算出した計算式について
 油脂(1µgΔ9-THC/kg体重)×50(kg体重)÷摂取量8.8(g)
 この計算式で用いられている摂取量8.8gという数値は、令和元年国民・健康栄養踏査で得られた一日あたりの油脂の摂取量の中央値ですが、CBDオイルを摂取する人が一日あたりに摂取するオイルの量は、食用油脂の摂取量と比べて非常に少ないです。
 この件について、ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、「ダイエタリーサプリメントの場合は、法的要件である1日あたりの推奨摂取量を用いることができる」とし、実際に、その後2024年に公表された「CBDオイル中のカンナビノイドの含有量に関する考察」では、メーカーが推奨する1日の最高用量(20滴)を推奨摂取量として採用し、「オイルのΔ9-THC濃度が少なくとも100mg/kgの場合、ARfDを超える。」と報告しています。
 CBDオイル等を想定したΔ9-THC残留限度値の計算式に、一般の食用油脂の摂取量を代入したことの妥当性を証明する科学的根拠をお知らせください。

(回答)
改正法施行後、様々なCBD等の含有製品の上市が想定される中、保健衛生上の危害を防止する観点から安全側に立って設定したものですので、妥当性はあると考えております。

【再質問4-2】
 欧州食品安全機関による急性参照用量(1µgΔ9-THC/kg体重)は最終製品として市場に流通する食品に関する指標ですが、日本のΔ9-THC残留限度値は、原料であるか最終製品であるかを問わない「製品中の濃度」であり、これを超えたものを麻薬に指定する基準値です。両者がどのように関連するのかについて、科学的根拠をご教示ください。

(回答)
日本の残留基準値については、保健衛生上の危害の発生を防止するために設定したものです。

【再質問4-3】
 「尿検査による混乱を避けるため」という理由は、取締りの便宜を説明しているものと思われます。また、尿検査による物質同定は、Δ9-THCとその代謝物が混合している可能性もあります。
 尿検査の方法とその正確性について、科学的根拠をご教示ください。

(回答)
捜査に関する内容であり、違法若しくは不当な行為を容易にするおそれがあることから、お答えすることは困難です。

【再質問4-4】
 本件に関するパブコメにおいて、海外の著名な研究者・専門家から、今回の厚労省が定めた基準値に批判的見解が寄せられていました。これらのパブコメをどのように検討したのか、具体的な討議の過程とその結果について、議事録等の開示を求めます。

(回答)
パブリックコメントの結果を公表したとおりです。

【再質問4-5】
 クリーム状のバームからTHCを抽出するごとに「保健衛生上の危害」が生じるリスク(危険性)があるとする科学的根拠及び政策としての合理性をご教示ください。

(回答)
今回の規制の趣旨は、様々な形態の製品が上市されることが考えられる中、性状によって規制するものであり、例えばバームについて経皮吸収されることがあることも考慮すると、一定の妥当性があると考えています。

【追加質問5】
CBD関連製品を輸入するに際し、THC残留限度値について成分分析表を厚労省に提出して確認をとることは、法的要件ではないとされています。
「この事前確認手続きは、当該製品の輸入に際して必ず必要な法的事項ではありません。」
(参照)厚生労働省:CBDブロードスペクトラムオイル等のCBD関連製品(※)の輸入を検討されている皆様へhttps://www.ncd.mhlw.go.jp/dl_data/cbd/cbdtebiki_20241212.pdf

一方、上記「手続方法」の説明によれば、厚労省の確認は「法的要件」ではないにも関わらず、「同じ製品、同じロット(バッチ)番号であっても輸入の日が異なれば、それぞれ別の輸入になりますので、輸入の都度、新規の確認依頼が必要となります。」とあります。
現地発送が同一業者による同一製品であっても、新たに「確認依頼」を申請する必要があるのでしょうか。運用の方針をご教示ください。

(回答)
行政サービスの一環として、麻薬取締部において確認をしておりますが、その確認は、麻薬ではないことの確認であり、輸入の都度確認することが求められるものと考えております。

【追加質問6】
 輸入するCBD関連製品が飲食物の場合、販売用食品として輸入する際、検疫所に提出する「食品等輸入届出書」には、麻薬対策課が確認した日付と担当者名を記載することが求められます。
 輸入するCBD関連製品が販売用飲食品の場合も、麻薬対策課への確認は「法的要件」でないにもかかわらず、要件外の事項を検疫所(厚労省の機関)が実質的には義務づけていることになります。その法的根拠をご教示ください。

(回答)
麻薬か否かを確実に判断するには全数検査をする必要がありますが、それは現実的ではなく、麻薬ではないことを担保する措置として妥当な取組の一つと考えております。そのうえで、検疫所の件につきましては担当部局にお問い合わせください。

【追加質問7】
 厚労省は、CBD製品の輸入許可基準を明らかにするよう求めた2017年4月17日付の私の情報開示請求に対し、それを明らかにすると「違法若しくは不当な行為を容易にするおそれがある」として不開示としました。
 昨年12月12日に施行されたTHC残留限度値が、「違法若しくは不当な行為を容易にするおそれが」ないと判断した科学的根拠を教えて下さい。

(回答)
大麻及び大麻由来のTHCを麻薬として規制することに伴い、保健衛生上の危害を防止する観点から、THCの残留限度値を超えたものは麻薬として取り扱うこととしましたが、その数値を明確に示したことで、「違法若しくは不当な行為を容易にするおそれが」ないものと考えております。

【追加質問8】
 食用大麻種子(ヘンプシード)は、Δ9-THC残留限度値のその他の区分1mg/kgが適用される対象なのかご教示ください。

(回答)
形状を有する大麻草の種子は、麻向法の規制の対象外のため残留限度値は適用されません。—–

厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課


以上が再質問書に対する厚労省の回答です。みなさんのご意見、お待ちます。
よろしくお願い致します。