多くの人たちの協力を得て取り組んだ大麻報道センターは、主宰者である私の2度目の逮捕と、それによる最高裁までの裁判の終結、そしてCBDの国内合法化確立をもって2017年2月に活動を終了しました。
2度目の逮捕は、厚労省の許可を得てCBDオイルを輸入することに成功したお祝いの大麻パーティーでの出来事でした。そうです。私はバカです。自分で知ってます。
CBDは、その後、予想を超える広がりを見せ、国内では大手企業が参入するほどの市場規模となりました。今般、茎と種といった部位によってCBD原料を規制するのではなく、成分規制に転換したのは、CBD市場が想定外に拡大しているので、現実との整合性を取るための措置という意味が大きいのだろうと思います。
日本のカンナビノイド市場に関心を示す資本の要請もあったのかもしれません。が、何より、さまざまな疾病を抱える多くの患者たちが、CBDの効果を実感し、体感し、なくてはならないモノになったことが最大の要因でしょう。背景には、海外で進む大麻の社会的容認の流れもあるでしょう。CBDを医療的に使うことを容認せざるを得ない現実の出来が、大麻の医療利用を禁止した大麻取締法第4条の全面削除につながったのだと思います。
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厚労省からCBD製品の輸入許可を初めて得た際、条件の1つは、原料が「成熟した茎と種」であることでした。私は、大麻報道センターの作業を手伝ってもらっていた、私にCBDオイルの存在を教えてくれた人でもある『大麻草と文明:ジャック ヘラー (著)』の翻訳者、J.エリック イングリングさんの協力を得て、アメリカの複数のブランドに連絡し、「成熟した茎と種から抽出した製品」だという証明書を発行してくれるところを探しました。そしてそれを入手し、厚労省から輸入許可を得ました。
いずれ、「茎や種から産業ベースに乗るほどCBDを抽出できるのか問題」が浮上するのではないかと私は予想していました。そして、茎種問題が騒ぎになったら、部位規制から成分規制への変更を求める取り組みになるだろうと思っていました。
ところが、現実には、茎種問題は一部のアンチしか騒ぎませんでした。不思議なことに、大麻肯定派がアンチCBDだったりするので、誰かこの現象に名前を付けて下さい。
厚労省が茎種問題を持ち出すことは、少なくとも表向きにはありませんでした。マトリのOBなどからはそのような指摘が出ていましたが。
今回の法改正では、部位から成分へと規制対象が変わり、更に、大麻の医療利用を禁止した大麻取締法第4条が丸ごと削除されました。大麻取締法の名称も「大麻草の栽培の規制に関する法律」と変更。そして、大麻は麻薬として麻向法に組み込まれ、使用罪の対象となりました。
第4条の削除は、大麻を肯定する運動側が長年に亘って求めてきたことでした。医療大麻を軸とした裁判も何度か争われてきましたが、大麻取締法にかすり傷ひとつ付けることができませんでした。
感慨深いものがあります。医療大麻の分野で活躍されていた、故・前田耕一さんも、きっと喜んで草葉の陰で閻魔様と一服していることでしょう。そのうち俺もそっち行きます。
今回の法改正で、THCの残留基準値を無意味に厳しくしたのは、マトリが大麻使用罪での検挙をしやすくするためだと思います。厚労省は、大麻使用罪で検挙したいから、これまで問題なく使えていたCBD製品を病人から取り上げるわけです。国民の税金で、やってることは鬼畜です。いずれ地獄で会いましょう。
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これまで、大麻で逮捕された者たちにより、大麻取締法こそが違憲だという裁判は何度も取り組まれてきました。今も大藪さんが控訴中です。
しかし、大藪さんの1審でも、私の2度の裁判でも、他のすべての同種裁判でもそうであったように、いくら大麻について科学的に検証する論文や文献などを提出しても、専門家を証人申請しても、裁判所は一切応じず、審理せず、無視し続け、昭和60年最高裁決定という前世紀のカビの生えた判例を踏襲し続けています。逮捕されての裁判では、裁判所はいっさい大麻について審理しないと決め込んでいます。裁判所も腐りきっています。
今回の法改正に伴い、厚労省はTHCの残留値を非常に厳しく設定しました。これまで厚労省はこの基準値を明らかにすらしてきませんでした。厚労省が、国民に内緒にしてきたこの数値をいきなり厳しくしたことにより、THCの何が悪いのか、原告として法廷で問うチャンスが生じたと私は認識しています。
THCの何が悪いのかを問うことは、大麻の何が悪いのかを問うことであり、大麻使用罪の正当性を問うことでもあります。
もう裁判なんか本当はイヤなんだけど、やりたくないんだけど、裁判官や検察官の顔など二度と見たくもないし、裁判所なんて葬儀場に雰囲気似てて入りたくもないし、隠居して孫と遊ぶ時間を作りたいんだけど。この局面、やるしかないかと。準備を始めました。
コストも莫大です。みなさま、買って応援、どうぞよろしくお願い致します。