大麻が全面解禁になったカリフォルニアで良かったことと悪かったこと – From J. vol.1 –

ジャック・ヘラーの名著「THE EMPEROR WEARS NO CLOTHES(裸の王様)」を読みやすく分かりやすい日本語に翻訳した、カリフォルニア在住のJ・エリック・イングリング(J. Eric Yingling)が、週1コラムを寄稿してくれることになりました。

Jさんは、私(白坂)が厚労省の許可を取って日本で初めてCBDオイルを輸入したとき、それを送ってくれた恩人でもあります。CBDについて私に教えてくれたのもJさんでした。
連載コラムはCBDのことに限らず、その原料である大麻のこと、その周辺文化やカリフォルニアの現実など、Jさんが気の向くままに執筆します。記念すべき第1回は、大麻が全面解禁になったカリフォルニアのBefore Afterです。


From J vol.1

2017年の1月1日からカリフォルニア州で大麻が全面解禁になった。合法化を受けて、ここ数年で、法案の良い面と悪い面も明確になってきた。

まず一番に挙げられる良い点は、もはや大麻で当局に捕まる可能性がほぼゼロになったこと。これは大きい。でも、カリフォルニアでは1996年から医療大麻が合法化されていたので、僕の頭の中では娯楽用のマリファナもとっくに合法化されていた。

医療大麻時代のディスペンサリー(大麻薬局)に対して、医師からの診断書なくして入店できる合法化後のディスペンサリー・ショップが以前にも増して乱立してきた。最近流行りのデリバリーも便利である。

反面、解禁して悪かったことは税率の高さである。僕はガンジャに40%の税金は払いたくはない。だからブラックマーケットが8割、合法市場2割という市場構成も納得できる。

マリファナショップの最高級ガンジャやハシシオイルは僕には高くて買えない。一方で、安いガンジャは安いなりのクオリティーである。相場的にいうと、2022年現在で、アウトドア・ガンジャのMidsクラスの値段は1オンス(約28g)$100前後である。

Mids とはまあまあのマリファナの意。中位。その下がカスネタの Bammer。Bammerの値段はピンキリで、オンス$10―50ほどか、これは相場がよくわからない。主にちょっと古いガンジャやトリミングが行き渡っていないガンジャのことで、 数年前には1ポンド(454g)$100程度で取引されていた。

そして、高級品質の大麻は Top Shelfと呼ばれ、オンス$140前後。その更に上が Boutique Quality で、これが最高級インドア・ガンジャ。相場は$160―200。

以上、ブラックマーケットの相場である。

税率にとどまらず合法化のデメリットは他にもあって、ヴェンチャー資本が大麻のアウトドア栽培を駆逐するが如く盛大に栽培に乗り出しているのと同時に、これまで医療大麻として大麻を育てていた農家が横目で軒並み潰れていく。

と言って、新型コロナの件で便乗値上げする卸人も多い反面、大麻の品質が急に良くなるものでもない。カリフォルニア州のストーナーのどうも複雑な心境である。